# MODERN style
■燕市 H様 弥彦山からの心地よい風が吹き抜ける!1階だけで完結する住まい
燕市旧吉田町に2019年秋に完成したHさんご家族が暮らす家を訪れた。
南北に細長い敷地で、青空をバックに佇むシンプルな三角屋根のH邸。
温かみのある茶色の外壁は塗り壁仕上げ。近くで見るとコテの跡が見られ、左官職人の手仕事を感じることができる。
建物は間口3間(約5.4m)に対して、奥行は6間(約10.8m)と、敷地形状に合わせて奥へと伸びている。
「この家を建てる前は、ここから歩いて5分程のアパートに家族4人で住んでいました。10 年以上暮らしていたメゾネットタイプのアパートですが、子ども部屋もなかったので、上の子が中学に上がる前に家を建てたいと思っていたんです」とご主人。
いくつかの住宅会社のオープンハウスを回ったが、担当者によっては質問をしても的確な答えが返ってこないこともあり、そのような会社には不安を感じたという。「そんな時にスタイルハウスさんの見学会に訪れたんですが、社長の小林さんは知識をしっかりと持っていましたし、話しやすかったですね」。
「過不足ない収納計画で、すっきりとした玄関に」
玄関ドアを開けると、そこは吹き抜けから光が注ぐ玄関。
土間部分は1.5畳と決して広くはないが、2階の高窓からの光が玄関ホール全体を照らしており、開放的で明るい。
最近はシューズクローク付きの玄関が定番化しているが、H邸では造作の下駄箱が一つあるだけ。
「収納が多くても、結局その分の物を増やしてしまいます。余計な物を持たないようにしたいので、収納はそれほど多くは設けないようにしました。靴も新しい のを買ったら古いものを捨てる。そうすれば、この下駄箱一つで十分なんです」とご主人。
下駄箱の反対側の壁の仕上げには、余ったパイン材の無垢フローリングを活用。濡れた雨具を掛ければ、無垢材が吸水してくれる。
下駄箱と並んでいるのはハンガー掛けで、コートなどをここに掛ければ、リビングで上着を脱ぎ散らかしてしまうこともない。
すっきりとした玄関には機能的な収納が過不足なくシンプルにまとめられていた。
「弥彦山からの風が抜けるリビング」
靴を脱いで玄関ホールに上がり左のドアを開けると、そこは約18畳のLDK。
角地に立つH邸は南側の掃き出し窓と、西側の上げ下げ窓の2面から光や風を取り込むことができる。
「この辺りは年中弥彦山から吹き下ろす風が吹いています。窓やドアを開けておけば風がよく通るんですよ。今は6月ですが、夜寝室の窓を開けて寝ると少し寒い くらいですね」と奥様。
取材に訪れたこの日は、夏至の6月21日。最高気温は24度で湿気は少なく、家の中をさらりとした風が絶えず吹き抜け、カーテンを揺らしていた。
パインの無垢フローリングは部屋の雰囲気を明るくしてくれる。「住んでから8カ月経ち、だんだんなじんできました。パインの床は冬でも表面が冷たくならない のがいいですね」(ご主人)。
スタイルハウスの代表・小林弘幸さんは「ダークブラウンの塗料で大人っぽい雰囲気に仕上げる床もいいですが、クリア塗装ならこのように明るい雰囲気ができ 上がります」と塗装による雰囲気の違いを説明する。
オークなどの堅木であれば上質感が際立つが、針葉樹のパイン材はその柔らかさも相まって親しみやすく優しい空間に仕上がる。
造作のTVボードは造り込み過ぎないシンプルなデザイン。こまごまとした日用品や、ランドセルを収納するのにちょうどいい。
天井には現しの梁がリズミカルに並び、温かみのあるアクセントになっている。
空間をゆったり広く使うためにソファは置いていない。「ソファは子どもたちがもう少し大きくなってからでいいかなと思っています」(奥様)。
リビングの奥はダイニング。さらに奥には対面キッチンが配されている。
キッチンに吊り下げられたクラックガラスのペンダントライトは奥様のお気に入り。スイッチを押すと、壁にクラックの模様が映し出され、空間の雰囲気を高め てくれる。
また、壁の一部にはマグネットが貼れる下地材「マグマジック」が仕込まれており、ピンなどで傷付けることなく学校や保育園の書類を貼ることができる。
「行き来しやすいキッチンと洗面脱衣室」
5畳のキッチンは、電子レンジや炊飯器などの調理家電を置くカウンターだけを造作。その下には食品を入れたワゴンやゴミ箱が整然と並ぶ。
その隣には食器棚が置かれているが、床と同系色で造作家具のようになじんでいる。吊り戸棚やパントリーはないが、キッチンに食洗器を付けなかったことで、 その分収納スペースが確保できているという。
「スペースに余裕ができたからか自分で何かを作ろうと思うようになりました。最近はレモンシロップを仕込んでヨーグルトにかけたり、レモンチューハイを作 ったりしています」とご主人。
キッチンのすぐ隣には2.5畳の洗面脱衣室があり、家事動線に無駄がない。洗濯物はその場で物干しも可能。
共働きのHさん夫婦は、洗濯は中干しが基本だが、脱衣室の他に2階ホールやリビングにも物干しスペースを確保している。
「1階に寝室を配し、平屋のような暮らしを」
キッチンの奥のドアを開けると、そこは6畳の寝室だ。
「将来的に1階だけで暮らせるようにしたくて、ここに寝室を設けて頂きました」とご主人。この寝室も風がよく通り抜けるので6月は心地いい夜風を浴びながら眠れる。冬もドアを開けて、LDKの暖気を扇風機で採り込むことで快適に過ごせるという。
北側の掃き出し窓から、小さな庭が眺められるのもポイントだ。
「アパートで暮らしていた時は、冬寒くて窓の結露やカビに悩まされていました。今は真冬でもエアコン1台で過ごせるのがいいですね。灯油を買いに行くこともなくなりましたし、アパートのように朝冷え込むこともありません」(奥様)。
寝室には2.5畳のウォークインクローゼットが設けられており、着替えもここで完結できるため、朝の準備もスムーズだという。「階段を上がることなく短い動線で暮らせるので楽ですね」。
「2つの子ども部屋が左右対称に配された2階 」
玄関ホールに戻り階段を上がると、そこは物干しスペース。レンガ調のクロスに遊び心が感じられる。
2階には3畳の納戸と6畳の子ども部屋が2室配されているが、2人のお子様は子ども部屋よりもリビングで過ごす時間が多いのだとか。
下の娘さんの部屋はピンク色のカーテンにピンク色のおもちゃが並ぶ女の子らしいお部屋。
小学校6年になる息子さんの部屋は、ブルーやグリーンでクールな空間に。
それぞれの個性が表現されている。
メゾネットのアパート暮らしから新築の戸建てへと住まいが変わって8カ月経つが、入居時と変わらず、ゆとりを感じているという。「ここに住んで、外でバーベキューをしたり、花を育てたりするようにもなりましたね。種をまくのが早すぎたせいか、ヒマワリはもう花が咲き始めました」とご主人は笑う。
夏至の高い太陽の下、プランターの植物たちが青空へと向かい背を伸ばしている。娘さんがじょうろで水を掛けると、花や葉がキラキラと輝きながら風に揺れた。
本格的な夏が始まる前の6月は、窓を開け放って過ごしたくなる季節。弥彦山から吹く爽快な風が抜ける住まいは、心までもふわりと軽くしてくれる。