# MODERN style

■三条市 Y様  4世代が暮らす家を大規模リフォーム。スタイリッシュなセカンドリビングを実現

築25年の住まいを大規模リフォーム

今回取材に訪れたのは、2023年の年末にリフォーム工事を終えたばかりのY邸。

築25年になるお住まいは三条市内の高台に立っており、ご夫婦とお子様2人、ご主人のご両親、おばあ様の7人家族が暮らしている。

Yhouse-63

延床面積は58坪と広く、21坪ある2階部分を若世帯が使っていたが、2階にトイレ以外の水回り設備がなかったことが悩みだったという。

「別な場所に土地を買って新築することも考えたんですが、この広い家を活用しないのはもったいないと思いリフォームすることにしました」とご主人。

「洗面台やキッチンは1階にしかなかったので、2階で手洗いができないことや、遊びに来た友人にお茶を出すために階段を行ったり来たりしなければならないのが不便でしたね」と奥様。

Yhouse-62

築25年が経ち、キッチンや浴室などの水回り設備も老朽化が進んでいたことから、1階も含めて大規模なリフォームを行うことにした。

「スタイルハウスさん以外の2社にも相談して間取りをつくって頂きました。1階の浴室を広くしたり、新たにランドリールームを設けたいという要望がありましたが、他社さんでは『建物の形も窓の位置も変えない方がいい』と言われて…。諦めた方がいいのかな…と思ったんですが、スタイルハウスの小林社長は『できますよ』と話されていて。最も理想的な提案をしてくださったスタイルハウスさんに依頼を決めました」(奥様)。

オーダーメードの造作洗面台を新設

2階には元々12畳の洋室と、8畳の洋室2部屋の計3部屋があった。12畳の洋室をYさん夫婦はセカンドリビング兼子ども部屋として使い、8畳の部屋の一つを寝室として使っていたという。

2階部分でYさん夫婦が希望したのは、12畳の洋室と隣接する4畳のウォークインクローゼットをつなげて16畳のキッチン付きのセカンドリビングにすること。ホールに洗面台を設けること。子ども部屋を2室確保することだった。

こちらが1坪のホールに新しくつくった造作洗面台。

家の東南側に位置する洗面台には、午前中の爽やかな光が注いでいた。

温かみある木のキャビネットに、マレーシアの老舗陶器メーカーClaytan(クレイタン)のシンプルなボウル、花をモチーフにしたカクダイの水栓「hana」、ハニカムタイルの組み合わせがかわいい。

ゴールドのフレームが上品な八角形のミラーは、奥様が購入して支給したものなのだそう。

「2階に洗面台ができたことで、子どもが手を汚した時にすぐに洗えるようになりましたし、歯みがきをするために階段を下りる必要がなくなりました」と奥様。

眺望抜群!広くリニューアルしたセカンドリビング

階段のすぐ隣がスタイリッシュなデザインに刷新された16畳のセカンドリビング。

Yhouse-05

床と天井はダークブラウン、壁紙はグレージュを選び、落ち着いた雰囲気をつくり出している。

入口がある東南側には、窓から光が注ぐ造作のカウンターデスク。約1.8mの幅広デスクは二人で並んで使うこともできる。

「ここは子どもたちの勉強スペースにしようと思って設けた場所ですが、今は私のドレッサーとしても使っています」(奥様)。

天井には好みのペンダントライトが取り付けられるダクトレール。そこには、消灯時もおしゃれなオーデリックのLED電球が吊り下げられている。

そのすぐそばには、フランスベッドのデイベッド「FREEing」。

広い座面は大人数でも座りやすく、クッションと背もたれを外せばベッドとして使える。一石二鳥の機能的な家具であり、すっきりとした脚や上質なファブリックがシックなデザインのリビングによくなじんでいる。

そして、その隣はダイニング。

グレーの円テーブルにダイニングチェア。天井から吊り下がるクラックガラスのペンダントライトが壁に印象的な光の模様をつくり出す。

普段は1階で家族みんなで食事をしているため、ここはカフェスペースのように活用。それゆえに生活感の出ないミニマルな空間が完成している。

その向かい側にあるのは、同じくグレーの面材が使われたキッチンだ。

「部屋を広く使いたかったのでキッチンは壁付けにしました。お茶を淹れるくらいなので、コンパクトなキッチンでも良かったんですが、小さくしても価格があまり変わらないので標準的なサイズのものを入れています」(奥様)。

キッチンの上にはスチールの棚受けと板を組み合わせた飾り棚があり、お気に入りのグラスやティーポットが並んでいる。

そして、圧巻なのがキッチンのそばに新たにつくられた窓からの景色。

眼下には田園風景が広がっており、遠くには弥彦山や角田山が連なっている。空気が澄んでいる日なら、日本海に浮かぶ佐渡島の山並みも見えるはずだ。

かつてのウォークインクローゼットの壁につくられた、のどかな景色を望む窓。視線は遠くへと伸び、実面積以上の開放感をつくり出している。

家族人数に合わせて個室を確保

一方、廊下を挟んで反対側には、5畳の子ども部屋が2室と、7.3畳の主寝室がつくられた。

こちらが5畳の子ども部屋。

2人の幼いお子さんたちのおもちゃコーナーになっていて、ドアを開ければホールを挟んで向かい側にあるリビングからもよく見える。

「以前はセカンドリビングと子ども部屋が一緒で、おもちゃが散らかりがちでしたが、子ども部屋を分けたことでリビングがすっきりしてくつろげるようになりました」と奥様。

寝室はリフォーム前と同じ北側の角部屋で、こちらはウォークインクローゼットを確保するために少しだけ縮小。

日中はリビングと同様に開放的な景色を望め、夜になればブラケットライトの穏やかな光がリラックスムードを演出する。

寝室の間取り変更に伴い、トイレの位置と内装も刷新。便器は既存のものを使いつつ、ヘリンボーン柄のクッションフロアと華やかな花柄の壁紙で、新築のような空間に生まれ変わった。

アーチの垂れ壁がかわいいシューズクローク&キッズスペース

2階は全ての内装をリフォームした一方、1階は廊下の左手にある和室の続き間と広縁だけは内窓を増設する簡単な断熱改修に留め、それ以外の部屋をリフォームでつくり変えた。

玄関は元々1.5畳程度の土間があったが、ポーチ部分まで1畳程度増築。その上で玄関内に間仕切りを設け、シューズクロークをつくり出した。

シューズクローク内部には壁一面の可動棚が設けられており、家族7人分の靴が整然と納められている。元々玄関は2.2mもの幅があったため、仕切っても窮屈に感じることはない。

廊下を進むと左手には、アーチ型の垂れ壁がかわいい小さな空間がつくられていた。

「リフォーム前は扉付きの収納になっていたんですが、インスタで見つけた事例を参考に、キッズスペースにして頂きました」(奥様)。カラフルな柄のクロスが張られた小さなスペースは、秘密基地のようなワクワクする空間だ。

“抜けない柱”を空間に溶け込ませる

今回のリフォームを経て、1階のLDKも大きく変化した。以前は20畳だったが、廊下や押入だった場所の一部を取り込んで23畳に広げている。

壁付けだったキッチンは、掃き出し窓に向かう対面キッチンに。さらに、ダイニングテーブルとカウンターをキッチンと一体に造作しており、大人数でも食事がしやすい広さを確保している。

「構造的に抜けない柱がいくつかあり、そのうちの1本をキッチンとダイニングテーブルの間にすることで邪魔にならないようにしています。それもキッチンをこの位置にしている理由ですね」と奥様。

ソファの後ろにも2本の抜けない柱があるが、こちらは飾り棚にしてカモフラージュ。

構造を同時に検討できる新築とは異なり、リノベーションでは広くした空間内に“抜けない柱”が残ることは珍しくない。そのままにしていては邪魔になってしまう柱も、このように工夫次第で空間に溶け込ませることができる。

そして、リビングと脱衣室の間には、新たにランドリールームがつくられた。

「以前は洗面脱衣室で洗濯をして、それを縁側まで運んで干していました。その移動が面倒でしたし、洗濯物も乾きにくかったんです。それで、今回ランドリールームをつくることにしました。廊下だった場所も使っていますが、それだけでは足りないのでランドリールームと隣の浴室部分だけ少し増築しています。

それから、新しくガス乾燥機の『乾太くん』を入れました。これが本当に便利で、家事が2つくらい減った感じです!ほとんどの洗濯物を乾太くんで乾かしているので、あまり干さなくなりましたね。あとはスロップシンクも新しく加わり、つけ置き洗いがしやすくなりました」(奥様)。

コーディネーターと共に理想の空間を実現

今回のリフォームで印象に残っていることを伺った。

「壁紙やフローリングなどを選ぶ過程が楽しかったですね。自分で決められそうにないことはコーディネーターさんを頼りながら進めていきました。空間のイメージをCGで見せて頂いたりもしましたが、仕上がりは想像以上!ペンダントライトや鏡などを楽天で探すのも楽しかったです。

リフォーム前はインテリア雑貨などを買わなかったですが、リフォームをしてからいろいろ飾りたいと思うようになりました。遊びに来る友達も『こんなに変わるんだ!』『新築みたいだね!』と驚いていました」(奥様)。

「リフォームをする前に新築かリフォームかで悩みましたが、いろいろなことを検討し、リフォームがより良い方法だという結論になりました。焦ってどちらかに決めるのではなく、じっくり考えてリフォームできたのが良かったです。全ての窓を断熱改修したりトリプルガラス窓にして頂いたことで家の中が暖かくなり、朝が起きやすくなりました」(ご主人)。

既存の建物を生かし、予算に合わせて住まいの悩みを解決できるリフォーム&リノベーション。特にインテリアは新築同様の自由な空間を実現できる。

築25年と比較的築年数が浅いY邸のリフォームでは、構造や断熱に関わる大規模な修繕の必要がなく、設備の更新や間取りの変更、内装の刷新などに集中できたことも特徴で、それによってコストがうまく抑えられている。

キッチンやユニットバスなどの設備更新時に行う大規模リフォーム。それは、さまざまな課題を一挙に解決し、より深い愛着を持って家を住み継いでいくための絶妙なタイミングといえるのかもしれない。

Y邸
三条市
延床面積 191㎡(58坪)
構造 木造軸組工法
築年数 25年(2023年12月リフォーム工事完了)
設計・施工 株式会社スタイルハウス

写真・文/Daily Lives Niigata 鈴木亮平

一覧に戻る